作曲家 旭井 翔一 X 指揮者 浅野亮介
Special Interview
- 浅野
- 作曲家になりたいと思ったのは、いつ頃ですか?何かきっかけのようなものはあったのでしょうか?
- 旭井
-
中学校3年生くらいの頃だと思います。ピアニストになりたかったのですが、全然上手くならなくて…。
それに人前に出るのがすごく苦手なんです。
それで、人前に出ずに音楽に関わっていける仕事を…ということで作曲家の道を選びました
- 浅野
- 好きな作曲家、影響を受けた音楽家はいますか?
- 旭井
-
パット・メセニーやチック・コリアですかね…
今回の作品に関して言えば、ノイズミュージックのような電子音楽の影響を受けていると思います。
- 浅野
- クラシックの作曲家じゃないんですね…笑
- 旭井
- もちろんクラシックも聴きますよ。でも、どんなジャンルの音楽も大好きです。ボーダーレスな感じです。
- 浅野
- 休みの日は何をしていますか?趣味などはあるんですか?
- 旭井
-
休みの日は…ありません…。
「仕事」と「休日」の区別がない職業なので…
いつも作曲しています。
趣味は…無いですね…強いて言えばピアノかな…
- 浅野
- 作曲が大好きなんですね(笑) やっぱり楽しいですか?
- 旭井
-
いえ、楽しくありません。
生きるためです。もし意義を見出すとすれば…僕は男性なので、子どもが産めません。
自分の中から何かを産み出したい…という気持ちはあります。
- 浅野
- 楽しくないんですね…。作曲をやってて一番辛いことは?
- 旭井
- 締切です。
- 浅野
- 正直ですね…
- 旭井
- 仕事の内容に関して言えば、明確な答えの無いものを作ること…これが一番辛いところです。
- 浅野
- 今回演奏される《忘却曲線からの旅立ち》とは、簡単に言うとどんな作品ですか?
- 旭井
-
互いに無関係な音楽的断片のメドレーです。
ただし、時間的に繋がっていくだけでなく、それらの断片は同時に鳴り響く多層的な関係でもあります。
一つだけ全曲を貫いて出現する音がありますが、それを除けば断片は次々と現れては忘れ去られていきます。
- 浅野
- どのようなところに力を入れて作曲したのですか?
- 旭井
- オーケストラの持つエネルギー、音響、音量の対比が明確になるように作りました。
今までにない構成を提示できれば、と思っています。
- 浅野
- 今回の作品を作曲するにあたって、一番苦労された点はどこでしょうか。
- 旭井
-
そうですね…アマチュアの方々が演奏されるということで、あまり例が無いことですから、
どこまでのレベルを要求していいのかな…というところが最初、とても気になりました。
結局、全然遠慮しなかったのですが…
- 浅野
-
ホントに全く容赦ないですよね!!!!?
…失礼しました、取り乱しました。この作品は昨年、2014年の8月に東京でEnsemble Free Eastによって初演されました。
今回は改訂版ということですが、どのような改訂を施されたのでしょうか。
- 旭井
- 関西のEnsemble Freeは東京よりも規模が大きいということもあり、パートを増やすことによって、よりエネルギーの対比がつくようにしました。
- 浅野
- この作品の聴きどころは、どこでしょうか?
- 旭井
- オーケストラの作品としては聴いたことがないような仕掛けを随所に施しています。
音の遊園地のような感じで楽しんでいただければと思います。
- 浅野
- これから作曲家として、何を目指されますか?
- 旭井
-
まずは、ちゃんと一人の作曲家として生きていけること。
それができた上での話ですが、奏者の方、聴いてくださる方に新しい感覚を与えていけるような作曲家になりたいですね。
- 浅野
- 最後に5月24日の演奏会にご来場くださる方にメッセージをお願いします。
- 旭井
-
今日練習に立ち会わせていただき、僕の作品が…と言うより、オーケストラの皆さんの演奏が素晴らしいので、充実したコンサートになると思います。
どうぞご期待下さい。