サックス奏者 松下 洋 X アンサンブル・フリー団員3名

アンサンブルフリーインタビュー画像

Special Interview

団員A
毎回、インタビューは指揮者の浅野さんが担当していましたが、今回は趣向を変えて、団員3人と松下さんで、お食事をしながら行うということにしてみました!
団員C
僕、実は松下さんと同い年なんですよ。僕は普通のサラリーマンですが、松下さんは海外遠征されたりご活躍されていて、全然違いますけど。
松下
同い年と話せるのはとても嬉しいです。僕の生活には、「ルーティーン」というものが存在しないので、サラリーマンの方々を心から尊敬しているんです。 今日はもうなんでも聞いちゃってください。
団員B
では、早速始めます。サックスを始めたのはいつですか?
松下
中学の吹奏楽部です。それまでは少しピアノを習っていました。 妹はトランペット奏者ですが、音楽一家というわけではなく、母は韓国人の専業主婦、父はシステムエンジニアです。
団員A
プロを志したのはいつですか?
松下
中学2年です。師匠である須川展也さんの演奏を聞いて心に決めました。 そのあと高校時代はずっと遊んでて、大学に入って改めてプロになろうと決意したんですよね。
団員C
遊んでたと(笑)なんでまた、大学で改めてプロを志したんでしょうか?
松下
仲のいい友達がすごくサックスを頑張っていたので感化されました。僕、流されやすいんですよね(笑)
団員C
サックス奏者で、最近影響を受けている人っていますか?
松下
ニキータ・ズィミンや上野耕平くんなどの同世代ですね。
耕平とは「ぱんだウインドオーケストラ」という団体で一緒にやっているんです。ピアニストの黒岩くん(アンサンブル・フリー 第24回演奏会に登場)もそうですが、同世代から受ける影響は大きいです。
あとは、ロックミュージシャンですね。ポール・マッカートニーとか。
松下 洋
団員B
サックスってクラシック音楽との関わりが薄い気がするのですが、どうですか?
松下
サックスの曲自体が1900年代からしかないこともあり、サックス奏者の中には、例えば「メンデルスゾーン知りません」なんて人もいるのですが、僕自身はクラシック音楽がとても好きなので、積極的に取り入れるようにしています。
団員A
好きな作曲家はいますか?
松下
チャイコフスキーとシューマンですね。
シューマンは特に、クリスマスプレゼントだったりクララへの思慕だったり、作曲する理由が素敵ですよね。文献を読み漁りましたし、シューマンの曲だけのリサイタルを開催したこともあります。プログラムノート、24ページも書いちゃった。
特に、ピアノ五重奏曲は、この曲がきっかけでクララとの結婚を認めてもらえたり、ワーグナーにも絶賛された曲なので、大好きですね。クララが一番幸せだった時期に書かれたものです。
団員C
なんと、シューマンですか!まさにそのピアノ五重奏曲の管弦楽版を、作曲家の阿部俊祐さんの編曲で今回演奏します。すごいご縁ですね。松下さんに解説文を書いてもらおうかな(笑)
団員A
音楽以外の趣味はありますか?
松下
服、バイク、UFOキャッチャー、ゲーム(ドラクエ)などなどです。一度ハマると何もかも投げ捨てて一直線ですね。1日で連続ドラマを一気に見たこともあります(笑)
団員C
そう言えば、小説家になるのが夢だったと聞きましたが本当ですか?
松下
ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読んでこれはすごいと思い、小説を書きたいなと思いました。
ちょっと温めている物語があるので聞いていただけますか。

~将来、出版される可能性があるため、物語の内容は割愛します~
団員B
世界観や舞台設定が完全に出来上がってますね!壮大なストーリーで仰天しました(笑)処女作にして映画化も夢じゃありませんね! さて、話を戻します。
ご自身のルーツに、お母さまが韓国人ということがあるかと思いますが、それを意識することはありますか?
松下
韓国人の出す食事の量って半端じゃないじゃないですか。そういう、世話焼きというか、おもてなしの心ですね。企画を主催するのが好きなのも、実はそれが関係しているかも(笑)
演奏面では「熱量」だと思います、大陸的っていうのかな。純粋な日本人の演奏は、「冷静」だなと思うんです。
松下 洋
団員C
なるほど。日本と韓国は近年微妙な関係かと思いますが、それについて何か思われることはありますか?
松下
微妙…というより、隣国同士はアジア、ヨーロッパ問わず、あまり仲が良くないもんじゃないですかね。対個人、という意味では、きっとみんないい人だと思いますよ。日本も韓国も、特にネットが過激なだけですよ。
団員B
ご自身の人生の中で一番嬉しかったことはなんですか?
松下
ベルギーのカジノで勝…ではなく、23歳の時初めてのリサイタルを開催したことです。半年前には全曲暗譜していました。終わってから三日間眠れないほど興奮したのは不思議な体験でした。
逆に悲しかったことは、初めて挑戦した日本管打楽器コンクールで初戦敗退したことですね。自分の好きなプレイヤーも初戦敗退でしたし、もうサックスをやめようかと思いました。次に受けたときはあまり練習していないのに2位でした。
なんか日本は基準が違うな、コンクールには「勝ち方」があるんだなと思いました。
団員C
今後の野望は?
松下
これまで4回、神奈川県中からサックス奏者を集めてサックスフェスティバルを開催していますが、2,000人くらいで横浜アリーナでやってみたいですね。
あとは3年前に組んだロックバンドで武道館でライブをしたい。さっきお話した小説も出版しなきゃですし。
音楽指導という面では、音楽大学という手段以外で新しいプラットフォームを作りたいと考えています。
マンツーマンレッスンでなければならないという常識が果たして本当にそうなのか?というところから派生して、オンラインスクールの構想を練っています。
団員C
確かに、僕の場合だと大学から楽器を始めたのですが、誰も教えてくれないことも多くて、誰に聞けばいいのか分からないことだらけでした。一流の音楽家によるオンラインスクール、時代に合っていてとても関心があります。
たくさんのことを一度に進めてらっしゃって、聞いてるだけでわくわくします。この先がほんとに楽しみですね!
団員B
さて、最後の質問になります。今回演奏いただく「パガニーニ・リミックス」ですが、作曲家の旭井翔一さんについていかがでしょうか?
松下
旭井くんは変わり者すぎる人です。ライトな現代音楽が流行る中、あえてデスメタルな世界をまい進しているというか(笑)
かつ、知識がものすごく豊富な人です。旭井くんの曲は、いつも依頼主の想像を超えてきて、ほんとに楽しいですね。
個人的にも仲が良くて、早く曲を書いてもらわないといけないときはウチに軟禁(!)して書いてもらったり(笑)。かあちゃんが旭井くんに山ほどご飯を出して大変なことになっています。で、結局作曲はあまり進まないという(笑)
「パガニーニ・リミックス」は旭井くんが僕のために作ってくれた曲です。サックスの魅力を存分に盛り込んだ曲で、ものすごく難しいですが、挑戦し甲斐があります。 挑戦といえば、クラシック音楽のいいところは挑戦し続けるところだと思っています。 例えばジャズは即興…悪く言えば、そのときの自分ができる範囲での演奏になってしまうので。
話は逸れましたが、「パガニーニ・リミックス」は、演奏はすでに3回しています。最初は吹奏楽で。オケでは、タイで行われたコンクールがきっかけで、タイフィルハーモニーとも演奏しましたね。
5月19日は、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います!
団員A
本日は本当にありがとうございました。デザートをいただいてお開きにしましょうか。私はキャラメルアイスで。
団員B
私も。
団員
僕も同じものを。
松下
……では、僕もキャラメルで。
団員B
なるほど、「流されやすい性格」ってこういうことですね(笑)いま一瞬、迷われましたもんね(笑)ほんとは抹茶アイスが良かったんじゃないですか(笑)
松下
僕は、流れを大事にしてるんです(笑)
一同
爆笑。
松下

松下さん、ありがとうございました!